GERBERA PARTNERSブログ

オーストラリア|オーストラリアに進出するならどの都市に拠点を置くのがいい?

2015/09/23

Q 弊社は、東海地方のメーカーです。輸出開始も北米進出も早かったのですが、長くその他の海外市場への進出は控えてきました。近年ようやく他地域への進出スピードを上げており、3年前に中国上海に現地販売会社を設立し、去年には欧州拠点としてロンドンに駐在員事務所を開きました。次はオーストラリアへの進出を考えております。シドニーがいいかなと思っておりますが、他の都市や州の特色も含めて教えていただけますか?

 

A オーストラリアはご存じのとおり、東海岸地域に産業・人口が集中しています。オーストラリアへ進出している日系企業のほとんどがシドニーかメルボルンに本社を置いております。日系進出企業のオーストラリアへの進出総数はおおよそ300社程度で、5割がシドニーに、80社あまりがメルボルンにあります。したがって、あわせて8割近くがシドニーかメルボルンに進出していることになります。

 

 パースは長らく横ばいが続きましたが、近年伸びて来ており、日系企業は50社近くに迫って来ております。LNGガスプロジェクトによりダーウィンも注目を集めています。

 

 ただし、ダーウィン(北部準州)の他、キャンベラ(オーストラリア首都特別地域)、ホバート(タスマニア州)は人口も少なく、他の州都と比べて低成長です。

 

 下記に、注目する主要都市の詳細(シドニー、メルボルン、ブリスベン、パース、ダーウィン)を見て行きたいと思います。

 

◆ シドニー

東海岸の南部に位置します。New South Wales州の州都で、オーストラリア経済の中心地でもあります。オーストラリアの首都であると誤解がよくあります(首都はキャンベラ)。歴史的にはもっとも早く移住が始まった地ですが、首都になったことはありません。シドニーの人口はおよそ430万人で、オーストラリア最大の都市です。日本との時差は通常は1時間早く、夏時間が始まりますと2時間になります。日本人在住者は30,000人を超えており、オーストラリア国内でもっとも多くの日本人が住む都市です。したがって、もっとも日本人向けのサービスが揃う都市でもあります。このような点が、150社余りの日系企業がシドニーに拠点を置いている理由となっています。ただし、近年は不動産市場の過熱は留まるところを知らず、シドニーがオーストラリアのなかでも最も顕著といえます。年間で10%以上の価格上昇があり、他の都市と比べてもシドニーは突出しています。

 

◆  メルボルン

東海岸の南端に位置し、人口は410万人程度です。Victoria州の州都で、Victoria州は豪州国内で人口密度は最も高くなっております。メルボルンの人口増加率はシドニーよりも高く、この状況が続けば近いうちにメルボルンの人口はシドニーを上回ります。時間はシドニーがあるNew South Wales州と同じです。オーストラリアの製造業の首都と言われ、特に自動車産業が集中しています。トヨタ自動車にとっても、実は海外で2番目に古い生産拠点です。日本人の数は20,000人程度で、近年は「ダイソー」、「無印良品」、「ユニクロ」といった小売店のオーストラリア進出の第一号店としてメルボルンを選ぶのが目立っております。しかしながら、2017年末までに、トヨタ自動車は現地での生産を中止することを決定し、その他にも同じくメルボルンに生産拠点のあったフォード、GMも撤退を表明しており、オーストラリアで生産を行う自動車メーカーは近々なくなります。豪州自動車産業全体において生産規模の縮小が見込まれ、関連日系メーカーの駐在員の数も近い内に少なくなるであろうことがと予測されます。

 

◆  ブリスベン

オーストラリア東海岸の北部の州、Queensland州の州都です。州の南端に位置します。観光業・農業が有名で、世界遺産にもなっているGreat Barrier Reefは州のより北部にあります。人口は約210万人です。温暖な気候で、リタイヤしたオーストラリア人がこぞって移住する地となっています。また、Victoria州で悩まされる花粉症を嫌い、花粉が飛ばないQueensland州の北部に引っ越す人もいます。世界的に有名なゴールドコーストも近く、ここに本社を置く企業もあります。アジアからの直行便も多く、フィジーに代表される南太平洋諸島国家へのアクセスが最も良い場所にあり、パプアニューギニア(3時間強)、フィジー(4時間弱)、ニュージーランド(3時間強)などオセアニア地域をカバーするのに、地理的に中心にあたります。Queensland州にはサマータイムがないため、日本との時差(プラス1時間)は、年間を通して変わりません。ブリスベンに住んでいる日本人の数は10,000人程度です。

 

◆  パース

西オーストラリアの州都で、西海岸の南に位置します。人口は185万人ぐらいです。シドニー・メルボルンと時差が2時間あります。日本との時差はマイナス1時間です。サマータイムはありません。シドニーからパースまでの飛行時間は5時間程度あります。2012年まで続いた鉱山ブームを牽引した州でした。鉱山ブームによりもっとも高い人口成長率を記録し、現在では人口は250万人を超えております。日本人の人口は約9,000人で、日本人にも人気の都市となっております。ただし、この鉱山ブームと急激な人口増加により、物価の上昇と不動産価格の上昇を引き起こしました。物価高はかつてのどかな田舎街であったパースの様相を変えてしまいました。しかし、進出企業にとって重要な都市に変わりなく、シドニー/メルボルンに本社があればもう一つオフィスをパースに置くケースも多くあります。

 

◆  ダーウィン

オーストラリアの北部に位置し、地理的にはアジアへの玄関口として最適ですが、長らく地方都市の一つに甘んじて来ました。人口も少なく、およそ14万人しかおりません。州の名前も準州で、れっきとした州になれない理由でもあります。時差は日本と比べプラス30分で、サマータイムはありません。最近はLNGガスプロジェクトにより、オーストラリアのなかでも俄然注目を集めております。たとえばINPEXが操業主体として進めるイクシスLNGプロジェクトは、半潜水式の海上生産施設としては世界最大規模であり、2016年末までの生産開始を予定しております。現在オーストラリアで生産されている油田の中でも最大規模となり、全長およそ900kmの天然ガスパイプラインによりダーウィンの陸上ガス液化プラントまでつなぎます。生産のほとんどが日本向けであるため、以前より日本人出張者をよく見かけるようになりました。それに合わせるように今年5月にはダーウィン国際空港の拡張工事が完了しました。これは今までのサイズをほぼ2倍にする工事でした。海外からの人・物資の受け入れもこれで加速します。今後より重要な拠点となって来るでしょう。

 

 結論としましては、シドニーかメルボルンに本社を置き、パースにサテライトオフィス設置するというのはいかがでしょうか。ダーウィンも今後の発展を鑑みて進出検討の価値はあります。仮にシドニーに本社を置いた場合、都市間の出張は飛行機で移動することになります。車での出張も場所によっては可能です。アデレード(南オーストラリア州)を含んだ東部を中心に営業活動を行い、西オーストラリア州へも2ヶ月に1度のベースで出張されるのもいいのではと考えます。

 

 ガルベラ・パートナーズでは、オーストラリアへの進出について、ご相談をお受けしております。また、ニュージーランドやフィジーなど、オセアニア諸国への進出についても、弊社までご相談ください。

 

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