2023/08/16
A、令和5年6月に改正された「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」から、勤続5年ごとにリフレッシュ休暇の付与とともに支給する永年勤続表彰金については、勤続年数による一律支給で、お祝い金の範囲を超えるような高額なものでない限りは社会保険の報酬と賞与のいずれにも含めなくてよいと考えられます。
健康保険法第3条第5項及び厚生年金保険法第3条第1項第3号において、報酬は、「賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受ける全てのものをいう。ただし、臨時に受けるもの及び三月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。」と定められています。報酬に該当しない「臨時に受けるもの」については、昭和23年7月12日保発第1号通知において、「被保険者が常態として受ける報酬以外のもので極めて狭義に解するものとすること。」とされています。
「労働の対償」とは、被保険者が事業所で労務に服し、その対価として事業主より受ける報酬や利益などをいい、①過去の労働と将来の労働とを含めた労働の対価 ②事業所に在籍することにより事業主(事業所)より受ける実質的収入をいいます。ただし、事業主が恩恵的に支給する見舞金は通常の報酬ではないとされ、結婚祝金や慶弔費などは、社会保険上の「報酬」、「賞与」とはなりません。
永年勤続表彰金について、これまでは、平成17年の社会保険審査会の裁決事例により、10年ごと、10年で表彰金が12万円(20年(18万円)、30年と40年(24万円))、特別休暇5日の事例について、①一定の勤続年数に達した者に対して一律支給、②該当者には5日間の特別休暇付与があり、表彰金は休暇付与に伴う資金援助の性質を持つ、③表彰金の金額も社会通念上のいわゆるお祝い金の範囲を超えるとも言い難い、④定期的であるとしても10年ごとを区切るものである、ことから、報酬と賞与のいずれにも該当しないという判断があるのみであり、10年に達しない場合はどうか、休暇が付与されない場合はどうなのかといったことについては、判断の基準がありませんでした。
令和5年6月27日に改定された「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」が厚生労働省から発出され、永年勤続表彰を報酬等とするかどうかの判断基準が出ました。
この中で、「永年勤続表彰金については、企業により様々な形態で支給されるため、その取扱いについては、名称等で判断するのではなく、その内容に基づき判断を行う必要があるが、少なくとも以下の要件を全て満たすような支給形態であれば、恩恵的に支給されるものとして、原則として「報酬等」に該当しない。ただし、当該要件を一つでも満たさないことをもって、直ちに「報酬等」と判断するのではなく、事業所に対し、当該永年勤続表彰金の性質について十分 確認した上で、総合的に判断すること。」として、3つの判断要件があげ得られています。
(1) 表彰の目的
企業の福利厚生施策又は長期勤続の奨励策として実施するもの。
なお、支給に併せてリフレッシュ休暇が付与されるような場合は、より福利厚生としての側面が強いと判断される。
(2) 表彰の基準
勤続年数のみを要件として一律に支給されるもの。
(3) 支給の形態
社会通念上いわゆるお祝い金の範囲を超えていないものであって、表彰の間隔が概ね5年以上のもの。
これらから、ご質問の「勤続5年ごとにリフレッシュ休暇の付与とともに支給する永年勤続表彰金」については、勤続年数のみを要件としており成績などで対象者を選別しておらず、また、支給する額がお祝い金の範囲を超えるような高額なものでない限りは社会保険の報酬と賞与のいずれにも含めなくてよいこととなります。
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