2024/06/20
A、労働者派遣法では、派遣元が意図的に特定の一社、または複数社に限定して労働者派遣を行ういわゆる「専ら(もっぱら)派遣」を禁止しています。さらに2012年の改正派遣法では、グループ内への派遣割合を8割以下とする規制強化も行われています。
ご相談のとおり、一般労働者派遣事業を開始する事業主は厚生労働大臣の許可を受ける必要がありますが、その許可基準には「専ら(もっぱら)労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的とするものでないこと」という内容が派遣法第7条に定められています。
相手が特定されていれば、派遣先がグループ企業数社であっても「専ら(もっぱら)派遣」とみなされて許可そのものが認められないことになりますので注意が必要です。
専ら派遣の判断基準とグループ内派遣の定義は以下のとおりです。
派遣元が雇用する派遣労働者のうち10分の3以上が60歳以上の者(他の事業主の事業所を60歳以上の定年により退職した後、雇入れた者に限る)である場合
2012年10月法改正で「グループ内派遣」の定義が示され、グループ内派遣の割合が8割以下に抑えることが義務付けられました。事業年度終了後3ヶ月以内にその割合を厚生労働大臣に報告することが必須となっています。注意するべきは、派遣元の派遣労働者数の8割ではなく、グループ内の企業に派遣した労働者の派遣労働時間数が全派遣労働者の派遣労働時間数の8割を超えているか否かで判断されるということです。
※算定式もご参照ください。上述の60歳以上の定年退職者は除外出来ます。
グループ内派遣の割合=
(全派遣労働者のグループ企業での派遣就業に係る総労働時間
― 定年退職者のグループ企業での総労働時間)
÷ 全派遣労働者の総労働時間
違反した場合には、許可の取消し、事業停止命令の対象となりますのでご注意ください。
※罰則には段階があります。
労働者派遣は、派遣法により「労働力需給調整事業」といって労働力の需要者(求人企業)と労働力の供給者(求職者)を円滑に結びつけるため調整を行う事業であるとみなされています。従いまして、特定の派遣先にのみ派遣を行なうことは労働力需給調整を行っているとは言えず派遣法の趣旨に反することとなります。
企業が特定の派遣会社から派遣社員ばかりを迎え入れることにより正社員雇用の機会が失われてはならないのですが、正社員よりも安く労働力を確保しやすく、状況によっては人件費削減のため用意に契約が打ち切られたりするケースが多かったため禁止されるに至りました。
一方で、人材派遣は、企業の一時的な繁忙に合わせて適正な労働力が確保できるメリットだけでなく、何よりも労働者側の働き方の多様化にも適合するすばらしい仕組みですので本来の意味を理解してご活用されることが大切です。
ガルベラ・パートナーズでは、人材派遣事業の許可申請のお手伝いから申請や派遣事業にまつわるご相談など専門家が対応いたしますのでお気軽にお問い合わせください。
(IPO労務DD/労基署初動対応/労務コンプライアンス/就業規則整備/申請代行・給与計算・労務相談)
弊社では、実務的な観点から、労務管理や人材管理の整備をご支援させていただいております。人事労務管理でお悩みの場合は、お気軽に下記問い合わせフォームよりお申し付けください。
◆ガルベラのメールマガジンに登録しませんか◆
ガルベラ・パートナーズグループでは毎月1回、税務・労務・経営に関する法改正や役立つワンポイントアドバイスを掲載したメールマガジンを配信しております。 加えて、メルマガ会員のみガルベラ・パートナーズグループセミナーに参加可能!
10秒で登録が完了するメールマガジン 登録フォームはこちら!