2016/04/13
Q アメリカに駐在させることになったのですが、駐在員の個人所得税は現地で納税すると聞いています。これについて教えていただけますでしょうか。
A アメリカでも、日本と同様に、その人が居住者であるか非居住者であるかによって、納税の義務や税率などが異なります。
アメリカの居住者・非居住者の区分は、日本のように1年以上日本に住んでいれば居住者(永住者含む)、そうでなければ非居住者というような簡単な区分ではなく、非常に複雑です。
グリーンカードを所有している人は、世界中のどこにいようが居住者になります。また、1年のうち183日以上をアメリカにいる人も、居住者になります。
上記はまだわかりやすいですが、以下に掲げる(1)(2)の要件を同時に満たす人も居住者となります。
(1)申告の年において、滞在日数が31日以上
(2)以下のⅰ~ⅲの合計が183日以上
ⅰ申告年における滞在日数
ⅱ申告年の前年における滞在日数の1/3
ⅲ申告年の2年前の年における滞在日数の1/6
なお、非居住者は居住者ではない人が該当しますが、アメリカでは非居住者であっても税務申告が必要です。特に、配偶者や扶養控除を受けたいのであれば、家族も申告をしておく必要があります。
個人所得税については、米国で働く人は一定額以上の収入があると納税しなければなりません。個人所得税は、連邦所得税と州所得税、市所得税がありますが、州所得税や市所得税は課税されない場合もあります。
州所得税は税率も取扱いも州によってバラバラですので、本稿では統一的なご案内ができる連邦所得税を中心に掲載してまいります。
連邦所得税は、給与所得者の場合は毎月源泉徴収をして会社が代わって納税するという点は、日本と同様です。非居住者であっても、30%の税率で源泉徴収をしなければなりませんが、これは免除申請をすることで免れることが可能です。もちろん、還付申請により還付も可能です。
日本のような年末調整はなく、各人は給料を会社から受け取るときに源泉徴収されて、自分で定める会計期間の最後の月から4番目の月の15日まで(たとえば1月から12月までの1年であれば翌年4月15日まで)に確定申告をして少し税金を還付してもらう手続きをします。これをアメリカではタックスリターンといいます。
個人所得税の申告は、米国の居住者であれば誰でもFORM1040という申告書を使って、自分で申告をします。個人所得税の確定申告が発達したアメリカでは、実はサラリーマンこそが節税の恩恵を受けており、常に節税を意識した生活スタイルが浸透しています。
そして政府は国税局のホームページで、連邦所得税の申告方法を指導しており、多くの米国人はこのサイトを見て自分で申告しています。ただし、確定申告を間違えると罰則が厳しいこともあり、日本人の場合は専門家に依頼することで間違いがなくなり、かつ、節税にもつながることが多いといえます。
以上、アメリカの個人所得税について簡単にまとめてみました。
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